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当てはめてみると、同法第184条の規定による「指図による占有移転」があったものと法律構成をすることができる。
つまり、運送品の所持人は、当該物品を占有代理人(運送入)により占有していることになるので、所持人が当該運送品(の占有)を第三者に譲渡しようとする場合には、譲渡人である所持者が代理人に命じて、以後、譲受人(新しく所持人となる者)に占有権を取得させることができる、というように法律構成をすることが考えられる。
しかし、連送品が、わが国とは法制度の異なる外国にある場合には、当該国の法律が適用されることとなり、上記とは異なる法律構成がとられることになる。
物権移転の法律構成の問題は、CMI規則による運送品の取引のプロセスに係わる固有のものではなく、今後、船荷証券等流通性書類のEDI化(BOLER0などの流通性書類問題プロジェクトの実施)の過程においても、検討・解決を要する法的諸問題の一つである。
?船荷証券の電子的代替物(同等物)に係るもの
「電子式船荷証券のためのCMI規則」第11条においては、運送人、荷送人及びこの手続を利用するすべての事後の当事者は、『電子データは書面と同等であること』に合意することとされている。
しかし、「CMI規則そのものは、『当事者がこの規則を適用することに合意した場合に適用される。』(第1条「適用範囲」)ものであり、国際取引に広く適用される統一法ではないので、仮に、当事者が同規則に基づいて交換することとなる電子データを『書面と同等である』と認めることとしたとしても、関連法令の整備が行われない限り、グローバルな形での「電子式船荷物証券」の採用には限界があると考えられる。
この問題も、今後、船荷証券等流通性書類のEDI化(BOLEROなどの流通性書類問題プロジェクトの実施)の過程においても、検討・解決を要する法的諸問題の一つである。
?その他EDI化に伴う技術的側面の問題
「電子式船荷証券のためのCMI規則」による船荷証券のEDI化に関しては、電子データの改ざん防止などを巡るセキュリティの確保などEDI化に伴う技術的側面の問題のあることも指摘されている。
この問題も、今後、船荷証券等流通性書類のEDI化(BOLER0などの流通性書類問題プロジェクトの実施)の過程においても、検討・解決を要する技術側面に関する諸問題の一つである。

 

 

 

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